work with Pride

企業等の枠組みを超えて、LGBTが働きやすい職場づくりを目指します。

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work with Pride プレセッション 沖縄 開催レポート

work with Pride プレセッション 沖縄 開催レポート

職場におけるLGBTなどのセクシュアル・マイノリティ(以下、LGBT)の働きやすさを考えるカンファレンスwork with Prideのプレセッションを沖縄県那覇市の沖縄産業支援センター 大ホールにて9月2日に開催しました。同時期に開催されたピンクドット沖縄とのコラボレーション企画です。また、work with Prideカンファレンスの沖縄地区での初開催ともなりました。

沖縄会場風景

地元沖縄での企業の取り組み、企業の中でLGBT当事者と支援者であるアライができることの二つのパネル・セッションをwork with Prideの今年度のテーマである「ブレークスルー」に基づき実施しました。当レポートでは開催のサマリーをお届けします。
モデレーターは、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中 権 氏が務めました。

ダイバーシティの根幹「人が好きだから!」
地元沖縄企業の取り組みを紹介

地元沖縄の企業の取り組みを紹介するセッションでは、下記の皆様にご登壇いただきました。(企業名の五十音順)

沖縄セルラー電話株式会社 経営管理本部 人事部長 伊藝 一哉 氏
株式会社沖縄タイムス社 編集部 社会部 黒島 美奈子 氏
KPG HOTEL&RESORT 取締役COO 田中 正男 氏
日本トランスオーシャン航空株式会社 価値創造推進部 部長 神山 和巳 氏
ホテルパームロイヤルNAHA 総支配人 高倉 直久 氏

松中:最初に、昨年度PRIDE指標2018のベストプラクティスに選出された日本トランスオーシャン航空株式会社(以下、JTA)の取り組みを神山さんより紹介いただきたいと思います。JTAは、沖縄地区でLGBT ALLY支援企業を募り、新聞社や情報通信会社など4社合同で勉強会などを実施。4社合同で開催したLGBTセミナーでは県内企業やメディアも巻き込みLGBTに対する理解と意識啓蒙を推進されました。

神山様神山:地域の企業と連携することで、県内の風土そして社会を良くしていくことができるとダイバーシティを重点課題として掲げ、多くの企業にお声がけしました。賛同いただいた企業と有意義な活動ができたと思います。それでも社内全員が同じ感覚になったかというとまだまだです。若い人は柔軟でしたが、年配者には頭では分かっているんだけどという社員も多く、さらなる啓蒙・啓発が必要だと考えています。

松中:JTAと一緒に活動された沖縄セルラー電話株式会社(以下、沖縄セルラー)の伊藝さんと株式会社沖縄タイムス社(以下、沖縄タイムス)の黒島さんにもお話を伺いたいと思います。

伊藝様伊藝:4社でセミナーを開催した際、カミングアウトした社員がいました。社内の行動指針の中に、差別をせず個性を尊重するとあります。多様性を認め、カミングアウトした社員が安心して働ける環境づくりを目指しています。多様性を認め、当事者やカミングアウトした社員が安心して働ける環境づくりを目指しています。今年も、PRIDE指標に応募し、ゴールドを取りたいですね。この取り組みをグループ会社のみならず、関係企業や代理店にも広げていきたいと思っています。(沖縄セルラーは、本年度PRIDE指標2019でゴールドに認定されました。)

黒島様黒島:これまでも紙面でLGBT関連記事を掲載してきました。けれども取り上げたのは社会部だけで、他の編集部や営業・販売部門ではそれほど関心は高くありませんでした。JTAからお声がけがあり、それをきっかけに企業として向き合おうとしました。
今回、メディアを巻き込んでいただけてありがたかったです。多くの人に情報を届けることができるメディア自体が一番変わったのではと思います。昨年まで、男の子は「君」、女の子は「さん」と、無意識に区別していました。体と心の性が一致しない子は、どう思っていたでしょうか。現在は、「さん」で統一しています。小さな一歩ではありますが、少しずつ変わってきています。

松中:地元沖縄県での活動として、今年で開催7年目となる性的マイノリティが生きやすい社会を目指すイベント「ピンクドット沖縄」について、ホテルパームロイヤルNAHA(以下、パームロイヤルNAHA)の高倉さんとKPG HOTEL&RESORT(以下、KPG)の田中さんにお聞きしたいと思います。

高倉様高倉:ゲイである知人から、パームロイヤルNAHAの前で行っている小さなイベントがあるんだけど、協賛してくれないかと言われたのが参画するきっかけでした。主要産業が観光業である沖縄は、LGBTツーリズムの経済効果はそれ以外の1.6倍あり、経済界にもアピールがしやすかったです。ダイバーシティであることは多くの旅行者に賛同いただけますし、企業としての採用にも効果的ですよと、企業へのピンクドット沖縄への参画をお声がけしていきました。古来、多様性をずっと受け入れてきた沖縄の文化があります。ダイバーシティ・アイランド沖縄構想を掲げ、誰もが住みやすく、全てを許容できる沖縄をめざします。
2年前は、LGBTという言葉を知らない人が多かったが、今や県議会が取り上げ、予算もつきました。多様性を認めあおうという思いで沖縄県が変わってきていると実感しています。

田中様田中: 2015年にゲイのお客様同士の結婚式をホテル内で挙行したのが、ピンクドット沖縄の活動に参画するきっかけでした。当社は、人材育成、ダイバーシティ、社会貢献の3つの方針を掲げています。ピンクドット沖縄は、社会貢献の一貫で始めましたが、企業としては利益をあげ、人材の確保も重要です。それに対しても大きな成果がありました。しかし、活動は継続していかねばなりません。ピンクドット沖縄開催中は盛り上がるけれど、終了すると忘れてしまいます。そこで、ピンクドット沖縄のNPO法人としての立ち上げを準備しています。アライが中心となり、LGBTを考えるNPOの設立はあまり例がないのではないでしょうか。これからももっともっと発信力を上げていきます。

何故、ダイバーシティに注力するのか、その問いにKPG田中氏の「人が好きだから。それに尽きる。」という言葉が大変印象的でした。

 

アライと共にバイアスのない職場づくりを!
当事者/アライによるセッション

後半は、LGBT当事者の方にご登壇いただき、アライと共に社会を変えていくための議論を下記の皆様にご登壇いただき行いました。(企業名の五十音順)

カフーリゾートフチャクコンド・ホテル 総支配人(当時) 荒井 達也 氏
シティグループ証券株式会社 オペレーションズ・システム部長 三木 健太郎 氏
株式会社丸井グループ サステナビリティ部 ダイバーシティ&インクルージョン推進担当 井上 道博 氏

松中:最初にLGBT当事者であることをカミングアウトされているシティグループ証券株式会社(以下、シティグループ証券)の三木さんから当事者の抱える悩みや職場の課題についてお話いただけますか。

三木様三木:自分がゲイだと気付いたのは早かったと思います。周りで男女の恋愛や結婚の話をしている時に話を合わせるのは苦痛でした。LGBTのサークルがある大学に進学し、学生時代はカミングアウトしていましたが、就活時はオープンにせずそのまま就職しました。営業部に配属され、お客様とのお付き合いも多い職場でした。宴席の二次会では女性がいる店に行こう、合コンしようなどと連れていかれることも多く、それも苦痛でした。しかし、そのことを誰にも相談できず、ストレスがたまり、システムズエンジニアに職種を変えました。営業の仕事自体は好きでしたし、社会がLGBT当事者の想いを受けていれてくれていたら、営業職を続けていたかったです。

松中:現在は、会社でもカミングアウトされていますが、そのきっかけは何だったのですか?

三木:以前の職場で上司がアメリカ人だった時、その方の娘さんがレズビアンということもあり、上司にはカミングアウトしていました。その上司が、三木さんが会社でオープンすることによって、救われる人もいると言ってくれ、会社でなにか良い変化が起きればとカミングアウトしたのがきっかけです。
現在の職場でもカミングアウトしていますが、実際、最近は、すごく変わってきました。今回、ピンクドット沖縄に会社として協賛することで、初めて沖縄オフィスを訪れました。沖縄のオフィスでは、カミングアウトしている社員はいないよと聞いていましたが、昨日はじめてパートナーを連れてカミングアウトしてきた方がいらっしゃいました。こうしたイベントに協賛する意味もあるんだなと思いました。

松中:アライがいるから、カミングアウトできる環境ができると思っています。ここからは、アライとして活動している方のご意見をお聞きしたいと思います。株式会社丸井グループの井上さん、いかがでしょうか。

井上様井上:そもそも人を区別する意味はないと考えています。カテゴライズする必要も本来ないと思うのです。私共は小売業として、特にLGBTの方々に向けてサービスを行っているわけではありません。多くの方々にファッションを提供しています。ただ、LGBTのお客様の要望に応えられているかな?もし私共のサービスや商品構成を利用しづらいと思っている方々いたらそれに応えていきたい、そういう思いでLGBTの方々を含め多くの方がにご満足いただけるよう企業努力をしています。一つ例をあげると、女性用の靴は、19.5cmから27cmまで揃えています。大きめの靴は、トランスジェンダーのMtFの方にもご購入いただいています。

松中:カフーリゾートフチャクコンド・ホテルの新井さん、いかがでしょうか。

荒井様荒井:アライの荒井です。(笑)
LGBTのことは、アーティストであるキース・ヘリングの手記で知りました。その時に思い出したのは、小学生の頃の同級生だった男子生徒のことです。彼は女性言葉を使うので、みんなからいじめられていました。その頃は、性自認のこととか分からなかったので、彼を救ってあげることができませんでした。ずっと胸にひっかかっていて、無知が怖い、多くの人に知ってもらうべき、私自身がアライとなろうと心に決めました。そして、周りに理解していない人がいたら、とことん説得します。

松中モデレーター松中:職場にアライがいることは重要でしょうか?
三木:職場は、仕事をする場所ではありますが、それだけではありません。昼食や休憩時の雑談に家族についての会話などをすることがあります。そうした時にLGBTのことが分かっているアライがいる環境だと、「結婚していますか?」ではなく「パートナーは?」という気遣いになりますね。しかし実際は、人は結婚して当然、子供は何人?と様々なバイアスが職場にあります。それって、LGBT以外の方にも働きにくい環境なのではと思うのです。

松中:本年度のwork with Prideのテーマは、ブレークスルーです。アライの皆さんのブレークスルーをお聞かせください。
井上:社会、職場環境を企業一社で変えていくのは難しいです。先ほど、ピンクドット沖縄のNPO法人化という話がありましたが、素晴らしいと思います。各企業同士ってつながっているようでつながっていない、ピンクドット沖縄やwork with Prideのイベントやセミナーに企業として、個人として参加することで一緒に活動を広げていく横の繋がりを密にしていきます。
荒井:沖縄には、「イチャリバチョーデー」という言葉があります。私が大好きな言葉で「一度会ったら皆兄弟」という意味ですが、沖縄にはとっても寛容な風土があります。日本の端っこにある沖縄ですが、work with Prideの本カンファレンスを沖縄開催にしてはどうですか?北海道でもいいですね。地方から全国へ、ブレークスルーできたらいいですね。

 

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沖縄タイムス 2019/09/03
多様な性尊重へ議論 「生きやすい環境が大切」 LGBTシンポ 企業の実践紹介https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/466013

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