work with Pride 2022実行委員会 LGBTQ+アライガイドブック

「アライという言葉を聞いたことがない。」「アライという言葉は聞いたことがあるけど、何のことかわからない」「アライは知っているけど、アライって何をしたらいいのかわからない」など、みなさんの会社の中にもアライって何するの?、アライという言葉も知らないという方もいらっしゃると思います。

 

アライの存在がなくても、LGBTQ+の当事者も、誰もがどんな場面でも同じように、ありのままに日々を過ごすことができる社会であることが理想ではありますが、現在セクシュアリティを知られないように職場では意識しながら働き、過ごしている当事者の方も多くいる状況の中、LGBTQ+の当事者がより安心して、自分らしく働きやすい職場となるために、また職場での風土づくりや差別をなくすためにアライの存在が大きな力となっています。

 

今回、work with Pride 2023実行委員会では、日本の企業内でLGBTQ+の人々がより自分らしく働ける職場づくりを進めるために、「アライ」について考え、すでにアライの方も、まだアライ表明されていない方も、アライを知らない方も、アライを「知る」、「行動する」きっかけにしていただけるよう、また会社でどうやってアライ活動を進めていけばいいのか考え、「LGBTQ+ アライガイドブック」としてまとめてみました。ご覧いただき、今後の取り組みの参考にしていただけたら幸いです。

アライってなに?

アライ(Ally)とは、英語で「同盟」や「支援」を意味するAllianceが語源で、LGBTQ+をはじめとするマイノリティを理解し支援する考え方そのものや、理解者・支持者であることを表明する人たちを表す言葉として使われています。

アライは誰かに認定されるものではなく、敷居が高いものではありません。
私たちwork with Pride 2023実行委員会は、当事者、非当事者問わず、

LGBTQ+を理解したい、偏見を持たずに受け入れ、支援したいという気持ちを持った方。

を「アライ」と考えます。

まだ行動までできていないという方であっても、まずはより多くの方がLGBTQ+を理解し、受け入れ、支援したいという気持ちを持つことが大きな力となります。
またLGBTQ+当事者も別のセクシュアリティの方々の「アライ」となり、互いの価値観を理解・受け入れていくことが大切だと考えています。

アライってなんのために必要なの?

職場でアライが増えていくことは、LGBTQ+の当事者が安心して自分らしく働ける職場づくり、雰囲気や風土づくり、また職場でLGBTQ+に関する差別をなくしていくための大きな力となります。

会社、そして共に働く誰もが多様性を受け入れ、尊重し合い、誰もが自分らしく公平に働ける職場になることは、会社がより発展し成長していくためにも必要なことであると考えます。アライが増えることは多様性を受け入れることとなります。
また、LGBTQ+の当事者は、見えにくい偏見や無意識に発する言葉の暴力にぶつかっても声を挙げられない事が多くあります。当事者にとって、社内にいるアライの存在はとても大きく、安心・安全を感じることができます。

アライってまず何をしたらいいの? 

自分は「アライ」だと思っても、何をしたらいいかわからないという方もいらっしゃると思います。そんな時に、参考にしていただけるよう「アライ」にまず期待することを書き出してしてみました。

◎LGBTQ+のことを知る
自分が気づかないところで、無意識な発言や行動で傷つけてしまっていることがあるかもしれません。アライとして、まずはLGBTQ+について、研修や本、映画、インターネットで公開されている記事等を活用し情報を得て、LGBTQ+について知ることから始めることをおすすめします。

アライを表明されているにも関わらず、その方が心ない発言や行動をした場合、当事者はその方はもちろん、他のアライを表明されている方へも不信感を抱いてしまい、さらに会社の取り組みに対する信頼の気持ちを失ってしまう可能性があります。
まずは自分のできるところから、少しずつ調べたり本を読むなど情報を得て、知ることから始めてみると良いと思います。

◎「アライ」であること表明する必要性を理解する
アライを表明すること自体に大きな意味があり、表明されることで当事者は、職場にアライが自分の周りにいると知ることができ、心強く、安心感を与えることができます。
逆に表明されていなければ、アライの存在を知ることができず、当事者は差別を気にしたり、自分をおさえて過ごすことになるかもしれません。あなたがアライであることの表明が、当事者にとって職場での安心につながります。

◎「アライ」であることを表明する
アライのステッカーやバッジの使用、またレインボーのストラップを身につけたり、会社などで使用されているオンラインミーティング用の背景画像にレインボーデザインの画像の使用、Web会議のアイコンにアライマークを使用することなどで、自分がアライという意思表示になります。

アライが可視化されることで、職場などの周りの人にカミングアウトしていない当事者もLGBTQ+を理解し受け入れてくれている人だと認識することができます。

◎社内外のLGBTQ+イベントに参加する
LGBTQ+当事者の話を聞いたり、LGBTQ+関連のイベントに参加したり、また会社のアライ同士で情報交換をすることもLGBTQ+についてより知る機会になります。
LGBTQ+のイベントで当事者やアライの方と交流することで、LGBTQ+に関するさまざまな情報を得ることができ、また各地で行われているプライドパレードなどではLGBTQ+を支援する様々な企業の取り組みなども知ることができます。

アライってどんな行動をしたらいいの?

◎LGBTQ+について発信する
LGBTQ+について、得た知識や情報を会話の中で伝えたり、発信を行い情報を共有することは、まだ理解が進んでいない方や、知る機会のなかった方なども含め、より多くの人に知ってもらい、理解を広げていくために大切なことです。
LGBTQ+の存在を認識していなかった方も、身近な方から、会話の中で共有されることで、知識を得て、より深く理解する機会となり、新たなアライとなるきっかけになると考えます。

◎言葉選びなど間違えたときは、素直に訂正や謝罪をする
LGBTQ+について知る努力をしていても、意図せず知らずに当事者が傷つく言葉を使用することも場合によってあると思います。その場合は、知らなかったことを素直に謝り、訂正することが大切です。間違っても誠意を持って、対話し、寄り添っている気持ちを伝えることが大事だと考えます。

間違って失礼なことを言ってしまうかもしれないと恐れ、アライがコミュニケーションをとらなくなってしまうことを、当事者も望んでいるわけではありませんので、LGBTQ+について知ることを続けながら、もし表現など間違ってしまった時は、誠意を持って素直に謝り、お互いを思いやり尊重している気持ちを伝えることが大切だと思っています。

◎当事者から相談されたら、誠意をもって対応し、アウティングはしない
当事者から自分のセクシュアリティに関することで相談された時は、自分を信頼して相談してくれたことに感謝の気持ちと、誠意を持って受け止め、アウティングはしないこと、自分になにかできることがないかと寄り添う気持ちを伝え、真摯に話を聞いてもらえたらと思います。

LGBTQ+当事者に関わらず誰もが、相談して邪険にされたり、信頼して相談したことを他の人に勝手に話された場合は、不快な気持ちを持つと思います。相談を受けた場合は、誠意を持って話を聞き、他の第三者に協力を得る必要がある内容の場合は、相談された内容について、伝えても構わない範囲を本人に確認し対応することが大切です。
相談された内容を本人の了承なく、他の人に話すことはアウティングにつながりますので、絶対にしないでください。

アウティングは、本人の同意なく、第三者が性的指向や性自認などを漏らす(暴露する)ことです。本人の了解(同意)なく他者に知らせることは、プライバシーの侵害にあたると同時に、家庭や学校、職場などのコミュニティで居場所を失うことやいじめや暴力、不当解雇などにもつながる恐れがあります。
また、2020年6月に「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行され、アウティングや性的指向・性自認に関する侮辱はパワハラの一類型として明記されています。

◎アライとして、差別発言・不適切な行動をする人に不適切であることを指摘できる
(あるいは指摘できなくても、そっと差別された人を守れる行動をする)

身の回りで差別的な言動があった場合、当事者は、例え傷ついていても、自分で声を上げるのは難しいことが多く、社内外で、間違った理解に基づく発言を耳にした時などに、不適切であることを指摘することは当事者にとってとても心強い行動です。

もし、その場で注意や行動ができない場合でも、同調せず違う話に話題を変えたり、もしその場に当事者がいる場合は、後でフォローをすることもアライとして大事な行動です。
その場に応じて、アライの方が発言や行動してもらえることは、当事者の職場での安心感を増すことにつながります。

当事者にとってアライとはどんな存在?

◎職場の身近な方がアライであることを表明してくれて、この人はアライだとわかることで、カミングアウトしている、していないに関わらず、職場での安心感が大きく違いました。もし何か困ったことがあった場合に、身近に相談することができる人がいることは、私にとってとても大きなことです。(30代)

◎LGBTQ+に関する取り組みを行なっている会社だと知って、転職活動をし、入社していても、配属された先で誰がアライかはすぐにわからないため、入社後は不安を持ち、誰がアライかを知るまでは、自分のことを話すことを躊躇してしまいました。
アライであることを表明してくれている人は、お互いにとって寄り添い合える安心できる存在と感じます。(30代)

◎当事者にとってのアライは、安心して自分らしく働ける職場づくり、雰囲気や風土づくり、また職場でLGBTQ+に関する差別をなくしていくための大きな力であり、心強い存在です。(40代)