work with Pride 2022実行委員会 LGBTQ+アライガイドブック

こちらのページでは、職場でアライ活動を進めるにあたり、多くの会社や団体が課題に感じておられる内容について、work with Pride 実行委員会参画企業の事例等をもとに、まとめてみました。
これから企業や団体等で、さらに取り組みを進めようと考えておられる方など、今後の取り組みの参考にしていただけると幸いです。

職場でアライを増やし、さらに活動を進めるにはどうしたらいいの?

◎情報発信し、情報交換・交流の場を作る
職場でアライの活動を進める場合、セミナーや研修等で都度アライについて伝えながら、LGBTQ+や、アライについての基本的な情報をはじめ、開催されるイベントの情報を発信したり、アライや当事者が交流、情報交換できるコミュニティや場所を設けることをおすすめします。

アライの活動や人が可視化されるようになり、当事者もアライも勇気づけられ活動しやすくなることが期待できます。

◎会社として、経営層から発信する
誰もが自分らしく働きやすい職場となるために、取り組みを進めていくには、会社として、また経営層から職場でのダイバーシティについて、またLGBTQ+に関する方針が発信、発言されていることがとても大切です。

すべてのDE&I(Diversity,Equity&Inclusion)のイニシアチブは会社全体で取り組むことが重要となり、リーダーや経営層の積極的な関与、先導が大事だと考えます。
経営層やリーダーが率先し社内でのコミュニティ参加や、活動をサポートしたり、プライド月間など社内の啓発期間に、メッセージ発信されるのも、さらに取り組みを進めていく力になると考えます。

◎アライグッズ、啓発グッズを配布する
アライを表明してくれた方が使用できるアライステッカーやバッジ、会社などで使用するオンラインミーティング用の背景画像や、アイコンに使用するアライツールを用意し、配布し使用を促すことで、社内でアライの可視化につなげることができます。

・参加できるイベントなど機会をつくる
どなたでも参加できる東京レインボープライド等、全国各地で開催されているLGBTQ+関連のイベントやオンラインで開催されているイベントの情報など、社内イントラサイトやツールで参加を募って、従業員が参加することで、よりLGBTQ+について知ることができ、アライメンバー同士の交流や情報共有ができる機会となります。

また社内で誰もが気軽に参加できる読書会や映画鑑賞会などを企画し開催したり、同性婚などのトピックを設定しディスカッションするなど定期的な勉強会やゲストを招いたトークイベントを開くのも皆さんの意識を高めるのに有効だと考えます。

どうやって情報を伝えたらいいの?

社内で使用しているツールを使用して定期的な発信や、会社単位や職場単位でのイベントや勉強会などを継続的に開催し、情報提供することが大切だと考えます。

発信の際は、テーマを決め、伝えたいことをイベントのトピックに取り入れ発信することや、社内ニュースレターやブログ記事などで従業員のインタビュー記事を掲載することでストーリーを共有するなども有効だと考えます。

どうやってコミュニティを作ったらいいの?

アライコミュニティを作るには、従業員が自発的にコミュニティを作って活動が進む場合もあるかと思いますが、自社にコミュニティがなく新たに立ち上げたいという場合は、まずは人事やDEI推進担当の方がイベントや研修、勉強会、社内イントラ等で呼びかけ、社内で使用されているツールを活用し、最初はオンライン上でコミュニティを作りってみるのはいかがでしょうか。

またコミュニティを広げていく場合、研修等での呼びかけ以外に、経営層のサポートを求め、社内のボランティアイベントや従業員が部署問わず参加する場などでネットワークを広げ、LGBTQ+やアライの気持ちを持った従業員を探し、気軽なアプローチでコミュニティについて伝えていくことで、メンバーを増やしていくこともできると考えます。

コミュニティを持続し、活性化させるには何をしたらいいの?

大きなLGBTQ+に関するイベント等がない時期でも、定期的に会って話し合えるよう、マンスリーのミーティングや、カジュアルに集まる機会も設け、コミュニティのみんなが気軽に話せる温度感を作ることが大切だと考えます。

また、コミュニティを持続させるには、積極的にイベント企画やコミュニティ活動に力を入れてくれるコアメンバーを決め、コミュニティを確立させ活動を持続させることも必要です。コミュニティ活性化のため、定期的にコミュニティリーダーを変えて、新しい考え方やアプローチを活動に取り込めるようにすることも場面によって検討いただくのも良いのではないでしょうか。

以下、コミュニティを活性化させる取り組みの一例としてご参照ください。



◎アライとして社内のネットワークを広げ、他のコミュニティと共通する話題を探して、他のコミュニティとコラボレーション機会をつくる。他のコミュニティとつながることで、LGBTQ+は当事者だけのものではないという認識をつくる。
◎LGBTQ+の方の経験やストーリーを共有する場をワークショップやパネルディスカッションを通して開催する。
◎LGBTQ+支援の取り組みを行っているNPOやその他の企業と提携して活動する。
◎LGBTQ+当事者や関連事項の認知を促進する(同性結婚を公的に支持する、レインボーフラッグなどLGBTQ+のシンボルを年間通して公的に掲示するなど)。
◎LGBTQ+をテーマに誰でも参加しやすい社内映画鑑賞会を開くなど、知識や理解を深めることができ、気軽に参加して楽しめる「楽しい」アクティビティを開催する。
◎LGBTQ+関連のイベント等(プライドパレード、パネルディスカッション、コミュニティなど)への参加を奨励する。
◎社内でアライを表明された従業員によるパネルディスカッションを実施し理解を深める。
◎シニアリーダーがコミュニティに積極的に参加して、活動が活性化するように努める。
など


 

より多くの人に関心を持ってもらうには何をしたらいいの?

まずは、推進担当者からダイバーシティ、LGBTQ+に関する取り組みを進める意義を社内で伝え続け、積極的な情報展開を行うことが必要だと考えます。継続して発信や活動を行なった上、一例ではありますが、以下のようなことを進めてみるのはいかがでしょうか。



◎一人ひとりがプロフィールなどにアライであることを記載したり、アライステッカーやポスターなどで、視覚的にLGBTQ+やアライに触れる環境を作り、誰もが参加しやすいセミナーや勉強会を開催する。
◎コミュニティのメンバーから職場のメンバーに発信してもらい、知ってもらう機会をつくる。(気軽にできることから。ニュースの話題、セミナーを受けた感想など)
◎社内バナーや社内HPのトップページにアライコミュイティについて掲載する。毎月色を変えたり、視覚的に目に触れるように工夫する。
◎新入社員や特定部署だけでなく、可能であれば全社員を対象とするような企業文化を紹介するイベント等を実施し、社内コミュニティのブースを設け、コミュニティメンバーがコミュニティー活動やゴールを直接社員と話せる場を提供する。
◎若い人を中心としたより深いエンゲージメント機会を作る。マンスリーミーティングや外部ネットワーキングのカジュアルな集まりなどに積極的に招待する。
◎会社の採用ホームページでDE&I(Diversity,Equity&Inclusion)について発信をする。キャリアフェアや採用プロセスの段階からコミュニティー活動やDEI企業文化の話をすることができる。
など


 

実際に会社で実施して良かったアライ活動事例

◎啓発セミナーの実施やアライグッズの配布など行うとともに、プライドイベントへの参加等活動を行なっていますが、まずはLGBTQ+を「知る」ことにフォーカスした啓発活動の反応がよかったです。また、シールなどのグッズの配布・利用によりアライであることの表明機会の創出が好評だと感じています。

◎複数の企業が集まって活動しているコミュニティで不定期に開催している「性の多様性」をテーマにしたオンラインのイベントでは、「愛」「家族」「性」「妊娠」「カミングアウト」など多彩なテーマで、LGBTQ+以外からも複数の視点を持つスピーカーをゲストに迎えて実施したことで参加者の裾野が広がった。
また社内のネットワーキングもコロナ以降に入社した社員などに人気です。

◎プライドイベントでは、社内コミュニティでブースのコンセプトを決めるなど巻き込んで検討し進めた結果、その後も活動に積極的にかかわってくれる人が増えた。また、幹部が多数パレード参加を決め、発信をしたことで、コミュニティ以外の人もパレードに参加したいという人が増えた。

◎PRIDE月間に、ホームページや文面での告知ではなく、リアルで各事業所を周り、アライの方と活動に関するチラシを配布し、リアルでの告知を実施する事でより活動を広める事が出来た。

◎セミナーの開催で当事者の方に登壇いただいたことが最も反応が良かった。当事者の方が感じる悩み、思いが分かり、実は大変身近な話だと理解した人が多かった。

◎セミナーでは、社内の従業員である当事者に登壇してもらうことで「遠いテレビやメディアの世界で聞いたことがある話」から「隣で働く人の話」へと聴講者に身近に感じてもらうことができ、「はじめて自分ゴト化できた」という感想が多く寄せられた。
また、「L」「G」「B」「T」以外の性的マイノリティの情報や生の声についても積極的に紹介することで、より理解が深まったという反響もあった。

◎他企業との合同パネルディスカッションや、社内でよく知られている社員がパネルディスカッションに登場することも、社員が関心を持つきっかけとなり、アライを増やす場合に有効と感じました。対話会は、参加人数は少なくても、対話会後にアライコミュニティに参加される確率は高いと感じます。